平成28年2月25日、第1回定例会にて一般質問を行いました。
主な質問項目p>
- インバウンドへの対応を強化せよ
- 非常勤職員の処遇改善に取り組め
- 視察、出張の実態
- 区立小の相次ぐ不祥事の責任は?
詳細は以下をご覧ください。
インバウンドへの対応を強化せよ
まず初めに、インバウンド対策という視点からですが、国は訪日外国人年間二千万人の目標達成が視野に入る中、平成二十八年度予算で受け入れ環境の整備や地方への誘客を加速し、訪日外国人数のさらなる増加を図るため国交省の予算を倍増し二百億円としています。東京都は同じく平成二十八年度予算原案の国際的な観光都市の実現で、外国人旅行者等の誘致に九十二億円、外国人旅行者等の受け入れ環境の充実に七十八億円を計上しております。
世田谷区においての国や東京都の予算にかかわる事業内容と予算額についてまず伺います。さらに、国や東京都などへの予算要望の状況と結果についてもお答えをいただきたいと思います。
こうしたインバウンド対策は、もう既に前年度の予算の中でさまざまな事業展開をしている地方自治体がほとんどであります。一方、世田谷区の事業を見ますとかけ声ばかりで出おくれ感は否めません。オリンピック開催に向けた競技会場である馬事公苑や、大蔵第二運動場がアメリカ選手団の事前キャンプ地になり基盤整備等の必要性が議論されてはいるものの、世田谷区の魅力や自治体の基本的な情報が広く国内外にアピールされておりません。
他自治体ではインバウンド事業として明確に推進しています。例えば自治体のセールスポイントや特色、観光スポット、名産品などをわかりやすい短時間の動画を多言語で提供したり、自治体全域でのWi―Fi環境の整備事業の推進や免税機器導入の推進、商店街での銀聯カード等クレジット決済端末の導入などに取り組んでいます。
世田谷区ではこれらの取り組み以外にも、外国人をビジターとしてではなく生活者として受け入れる環境づくりなど世田谷の魅力や特性を活用した取り組みが必要です。中でも私は、都心に近い良好な住宅地という特性を生かして、短期、長期の滞在のための賃貸住宅の情報や居住及び投資のための不動産購入に向けた情報を提供していくことも重要なインバウンド対策のスキームと考えます。
こうした空き家、空き室管理では、個人資産の出口戦略としての手法ばかりではなく、エリアマネジメントを考える上でのアプローチとしてでも必要と考えますが、この点も含め、いずれにしても世田谷区のインバウンド対策にしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、現状と今後の取り組みについて区長の見解を伺います。
加えて、世田谷区のホームページを見ますとインバウンドを意識した視点が特に欠けているように思われます。所管ではホームページの全面的な改定等も検討しているとのことですが、区の紹介動画の作成やPRを検討すべきだと考えます。お答えをいただきたいと思います。
また、以前から要望している民泊もインバウンド対策のスキームの一つでありますが、厚労省は、旅館業法の簡易宿所として位置づけ、基準や要件を緩和し、同法に関する政令と通知を改正、四月に施行する方針を示しております。
この場合、本来、建築基準法等の用途規制によれば住宅地では原則営業できない違法な民泊の多くが既に住宅地に存在するといった実態を解消していく必要もあります。自治体の許可制とするとのことでありますが、自治体にどのような裁量が残されるのかは不透明でありますけれども、区民の懸念を払拭する取り組みを要望しておきたいと思います。
<保坂 区長>
あべ議員にお答えいたします。インバウンド対策について見解をということでございました。
昨年、日本に来られる外国人旅行者が千九百七十三万人と約二千万人に近づき、現在国では、観光立国の実現のためのアクションプランを定めて、観光産業の強化、外国人の受け入れ環境整備、また、外国人ビジネスの取り込みなど、経済活性化、雇用創出も視野に入れながら取り組みを進めています。
また、東京都におきましても、世界の観光ブランド都市東京を目指して、観光産業振興プランに取り組んでいるところです。オールジャパンでの連携が進んでいるというふうに考えております。
現在、一万七千人弱の世田谷区在住の外国人の方がいらっしゃいます。ここに加えて、留学生、あるいは区を訪問される、短期滞在される外国人の方々に、観光はもとより、Wi―Fiや多言語対応の強化といった利便性の向上や、活発な消費、ビジネスや住まいなど、多様な環境を区民、事業者と連携して整え、世田谷の魅力を底上げしていくことが大事というふうに考えています。
また、外国人旅行者も、準備された観光コースをあくせく移動するというだけでは飽き足らない時代となりました。私たちが大切にしている文化やにぎわいをみずから探して、みずから路地を探して歩くような町歩きを受容する、そういう世田谷区を目指していきたいと思っておりまして、まちなか観光協議会をグレードアップし、よりアクティブな情報発信とPRを向上させていきたいと思っております。
東京オリンピック・パラリンピック二〇二〇年を契機に、さらにこういった国際都市、大きく開かれた世田谷区をつくるため、残すために、庁内を挙げて取り組んでまいります。
<花房 産業政策部長>
私からは、インバウンド対策の予算につきまして御答弁申し上げます。
日本を訪れる外国人旅行者の中には、買い物や有名な観光地の訪問など従来型の楽しみから、日本文化に触れる、あるいは日本人の生活そのものを体験することを目的とする人がふえているといった報道がされております。
こうした訪日外国人の方々の区内での滞在が、安全、安心、快適であるためには、施設等の案内サインやガイドブックなどの多言語化、無料Wi―Fiなどの環境整備が大変重要であると認識しております。
議員から御紹介のございました商店街での外国人向けクレジット決済対応や、ホームページの多言語化等につきましては、既に区内の一部の商店街で、国や東京都の補助スキームを活用して取り組んできており、来年度につきましても、東京都の新・元気を出せ!商店街事業補助金を活用した予算として百四十六万三千円を計上しております。
一方、区の魅力発信など庁内全体にかかわる課題に対しましては、今後スポーツ団体や産業団体等により設立が予定されております二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの協議会での議論や、庁内検討の動きを踏まえまして、予算措置も含め対応を検討してまいります。
以上でございます。
<板谷 政策経営部長>
私からは、二点お答えをいたします。初めに、インバウンド対策に関し、区ホームページについてのお尋ねがございました。
区は、区の魅力や区政情報をタイムリーに発信するため、区のホームページのトップページに、世田谷の魅力といったカテゴリーを設け、各地域の見どころなどを地図で紹介するとともに、区内の観光マップなどを紹介するまち歩きお出かけ案内や、世田谷まちなか観光アプリの紹介などを、産業振興公社との連携により情報発信等を行っているところです。
また、区の代表的な行事や区政のトピックスを動画で紹介するせたがや動画のコーナー等も設け、動画の特性を生かした情報発信に努めておりますが、区外に向けた魅力発信という観点からは、掲載量や更新の頻度等において必ずしも十分とは言えないと認識しております。
提案のありましたインバウンドに対応した情報提供につきましては、ホームページのリニューアルとあわせ、機能面や情報収集、提供の仕組み等について検討し、魅力ある情報発信に努めてまいります。
非常勤職員の処遇改善に取り組め
次に、同一価値労働同一賃金の原則と格差是正についてですが、全ての雇用労働者の三八・二%を占める非正規雇用労働者の労働条件の改善に取り組むことが重要です。質、量の側面で正規労働者と同等の仕事を遂行しているのにもかかわらず、賃金や処遇に格差が存在する場合も多く、非正規労働者の約七割を占めるパート労働者の時間給は正規労働者の六割に満たない水準であります。さらに、非正規労働者の約一八%は今の雇用形態を余儀なくされている不本意非正規労働者です。公務職場を含め雇用安定化など総合的な労働条件改善に取り組むとともに、時給改善にも取り組む必要があります。そうした取り組みが子どもの貧困や教育格差の解消にもつながると考えます。
首相も今月五日の予算委員会で、同一労働同一賃金について法制化の検討と仕事の内容や経験などが同じなら同一待遇を保障する均等待遇を検討すると言及いたしました。経営者側の経団連は、不合理な格差解消は重要だが、均等待遇を推進する環境にはないとの見解である一方、労働者側の連合は、合理的な理由が説明できない場合、同じ仕事ならば同じ賃金、待遇にするべきだとして、労使双方がかみ合っておらず、具体案の作成に向けた本格的な議論が待たれるところであります。
さて、現在区の正規雇用職員は五千四十九人、再任用が五百四十八人、それに対して非正規労働職員は二千七百八人です。全体で八千三百五人のうち三二・六%が非正規雇用職員になります。
労働条件では、一時金や賞与の支給、昇給制度、退職一時金、通勤手当、定期健康診断の実施、仕事に必要な研修や教育、キャリアアップのための研修や教育、年次有給休暇取得制度、慶弔休暇制度、育児休業制度などにおける非正規雇用職員への適用の推進による均等待遇に向けた処遇改善が求められますが、世田谷区非正規雇用職員の現状と課題、今後の取り組みについてお答えをいただきたいと思います。
<岡田 総務部長>
私からは、同一価値労働同一賃金の原則と格差是正について御答弁申し上げます。
非正規雇用の問題は、国においても大きなテーマとして取り上げられており、同一労働同一賃金に向けた取り組みなどによって非正規労働者の待遇改善が進められることは重要なことであると考えております。
区の非常勤職員においては、その職責等が正規職員と異なることや、単年度雇用、短時間勤務が前提となることから、処遇面では、正規職員と比べると一定の差異も生じてまいりますが、区政運営の中で貴重な役割を担っている非常勤職員の労働環境整備は大変重要な課題であると認識しております。
このため区ではこれまでも、職責に応じた報酬の設定や休暇制度の充実、研修体制の整備などさまざまな環境整備を進めてまいりました。来年度に向けましては、昨年度に引き続き報酬額を増額改定するほか、関係団体から強い要望であった雇用更新回数の限度の撤廃を行うなど、さらに働きやすい制度に改善をしてまいります。今後とも非常勤職員の意欲と能力をさらに生かし、区政のさまざまな分野で一層活躍できるよう、引き続き労働環境の整備を進めてまいります。
以上でございます。
視察、出張の実態
次に、視察、出張の実態について伺います。
世田谷区の行政視察の二十五、二十六、二十七年度の各予算推移を見ますと、二十五年度は五百四十九万三千円、二十六年度は千百八十五万円、二十七年度は千四百八十八万七千円となっており、二十六年度は対前年比二・一六倍、二十七年度は対前年度比一・二六倍とふえ続けております。特に増加しているのは教育委員会所管と生活文化部の支出ですが、新規事業に向けた現地視察や相手方の自治体とのすり合わせなど各部各課での予算要望により査定が通ったということだと思いますけれども、そもそも予算査定の過程で、さまざまな区民要望に応えるため公平公正な再配分に腐心されているのは承知をいたしておりますけれども、特に区市町村の位置づけの自治体において税金を使った職員の海外視察等が必要なのかといった、区民を初め社会的な批判があることも事実であります。また、予算を割り振る優先順位から考えてそうした支出は妥当なのかとさえ思います。
熊本区政のときにはそうした支出は余り目立たなかったわけですが、ここのところ保坂区長や堀教育長が海外視察をしたということを皮切りに、税収の増加に合わせて堰を切ったようにこうした予算が倍増していく様を、区民を代表していかがなものかと考えます。特に本年度予算がついたからといって、それを各部各課で恒久化することのないように求めておきますが、区の見解をただしておきます。
<板谷 政策経営部長>
区の視察、出張についてのお尋ねがございました。
予算の編成に当たりましては、予算編成方針、予算フレーム等に基づく財政規律の観点を十分認識した上で行っているところでございます。各部におきましては、限られた財源の中で、創意工夫と主体的な判断のもと予算の見積もりを行っており、行政視察、出張につきましても、事業の必要性や優先度を十分に精査した上で予算の見積もりを行っております。
また、その執行に当たりましては、事前に十分な調査等を行った上で現地へ赴き、直接見たり、お話を伺ったりすることや見聞きしたことでの疑問をその場で直接質問したり、議論したりすることにより、一層理解が深まる等の成果が得られると認識してございます。
そうした視察の成果を報告書の作成や報告会の開催などにより広く情報共有や議論の素材にすることが、具体的かつ実効性の高い施策の組み立てにつながり、よりよい区民サービスに反映させていくことが可能になると考えております。
また、視察等の経費につきましては、毎年度の予算査定において、その必要性等について十分に精査をし、査定をしてまいります。
以上でございます。
区立小の相次ぐ不祥事の責任は?
次に、赤堤小学校での問題についてです。
二〇一四年四月二十五日の読売新聞に区立赤堤小学校で、通知表に誤りがあったが、担任が学校側に報告をせずに差しかえていたということが報道されました。また、同じ学校で通知表の誤記入があり訂正していたということですが、確認したところ、こうした経緯について文教常任委員会でも報告されてはいませんでした。
また、同校では、複数の児童が授業中にBOP室の屋根に上っているところを近隣住民が一一〇番通報し警察が出動したり、また、別件で児童が校内で暴れ保護者にも暴力を振るうなど、教員も制止し切れず一一〇番通報し警察が出動したと聞きますが、この件につきましても確認しましたが、文教常任委員会でも報告されてはいないということでございました。
そこで、これらの経緯と事実関係についてお聞きいたします。
再び通知表の誤記入や新たに警察の指導等を受ける事態を引き起こした原因と責任の所在はどこにあるのか、校長なのか、担任なのか、学校全体の問題なのか、それとも教育委員会の指導体制の問題なのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
また、学校の現状と再発防止に向けた取り組み、保護者への説明責任をいかに果たしていくのか、教育長の見解を求めて、壇上からの質問を終わります。
<堀 教育長>
赤堤小学校での問題について御質問いただきました。
昨年八月、次期学習指導要領の中間報告、論点整理が出されるなど、これからの教育のあり方が議論されておりますが、学校は子どもたちの多様性が尊重され、さまざまな人とかかわりながら学ぶことにより、みずからの人生や社会をよりよくしていこうという意欲を持つ子どもたちを育成していく場でもあります。
御案内のように、世田谷区には九十三の区立小中学校に四万人を超える児童生徒が通学しております。このような中、各学校が児童生徒一人一人の安全の確保、そして充実した学校生活を送れるよう工夫して取り組むことは、教育活動を進めるに当たって最優先するべきものであります。
議員のお話しにありましたように、当該学校では、児童に対し重点的な指導の必要な状況がありましたが、既に教育委員会も入り、学校に対してサポートをしてまいりました。また、通知表への誤記入については、保護者への連絡にタイムラグがあり、保護者に不信感を与えたことは残念であり、再発防止に向け校長に対し指導を行いました。これらの責任は、最終的には教育長にあると考えております。
お話しの学校長は、学校情報などを積極的に学校運営委員会等に提供したり、また、保護者とのさまざまな懇談を通して、学校教育に対する理解を深めるなど熱心な取り組みを行っております。今後はこれらの取り組みを継続していきながらも、このたび議員からいただいたお話をもとに、日ごろの取り組みを改めて見直し、保護者へのしっかりした対応と、より一層の信頼が得られるよう、校長とともに取り組んでまいります。
以上でございます。
それぞれ御回答いただきましてありがとうございました。
細かい点は予算委員会のほうでまたお聞きしますけれども、一点、インバウンドに関してですけれども、中小企業庁は今般、平成二十七年度の補正予算で商店街・まちなかインバウンド促進支援事業を開始するということを発表しております。区としてもこうした事業に積極的に手を挙げていく必要があると思うんですが、この問題について率直な見解を求めておきたいと思います。
<花房 産業政策部長>
再質問にお答えいたします。
お話しの国の二十七年度補正予算によります商店街・まちなかインバウンド促進支援事業につきましては、先月、二十七日ですけれども、東京都主催の自治体職員向けの説明会がございまして、大まかな情報提供がございました。きのう、詳しい募集要項が国のホームページに掲載されまして、現在その内容を確認して、活用方法について検討しているところでございます。商店街における訪日外国人等の対応につきましては、引き続き国や東京都の補助金も十分活用しまして取り組んでまいりたいと思います。
以上でございます。
インバウンドについては、さまざま質問させていただきましたけれども、大変幅が広いわけでございまして、区としてどういった対策ができるかしっかり真剣に議論していただいて、実効あるものにしていただきたいと要望しておきたいと思います。よろしくお願いします。