令和3年12月1日、本会議にて一般質問を行いました。
主な質問項目
- 世田谷区の相対的魅力と地価下落について
- 軽自動車税について
- 世田谷区内を通る私鉄電車内での犯罪から区民利用者を守る安全対策について
- 区内の公園での犬の散歩について
- 防災無線の音声デジタル化と補完について
- 給食費の完全無償化について
- 公共施設での完全禁煙について
- 歩きスマホの禁止条例について
詳細は以下をご覧ください。
世田谷区の相対的魅力と地価下落について
それでは質問してまいります。
世田谷区の相対的魅力と価値低下、その再生について伺ってまいります。
九月二十一日、東京都が都内基準地価を発表、世田谷区が都内地価下落ワーストテンを独占し、日経新聞などでも取り上げられ、話題になりました。その十の基準地は、岡本三丁目、千歳台二丁目、赤堤三丁目、給田四丁目、喜多見四丁目、給田五丁目、北烏山一丁目、尾山台一丁目、八幡山二丁目、船橋四丁目で、全て第一種低層住居専用地域の住宅地です。共通するのは、駅から遠い立地で、交通の便が悪く、コンビニも近くにないなど、利便性に欠ける地域とのことです。
また、特集記事を書いた光文社のライターは、残念ながらこの地域は、計画的な開発がなされる背骨の通った町とは言えません。今、一棟を何棟もの戸建てに分割し、新たに分譲するディベロッパーがこれらのエリアにも進出しています。しかし、それでは町並みが変わり、保たれてきた高級感が失われてしまいます。住民からも反発があるでしょうと分析をしておりますが、この十地点ばかりではなく、世田谷区全体の平均地価も前年度比〇・五%下落しています。
世田谷区の魅力が低下していることは間違いありませんが、そうした自覚が行政にないところに大きな問題があるのではないでしょうか。コロナ禍で経済が停滞しているのは二十三区どの自治体も同じです。世田谷区の地域が他の区と比べて特に下落しているわけですから、この世田谷区の相対的魅力と価値の低下をいかに再生するのか、区長の所見と対策を伺います。
保坂 区長
あべ議員にお答えをいたします。
世田谷区の相対的魅力と地価下落についてであります。
今般の地価下落についてまず考えられることとして、新型コロナウイルス感染症の影響により取引自体が減少したことや、在宅勤務の増加により住宅ニーズに変化が生じたことなどが挙げられるかと思います。一方、バス路線の削減など、公共交通の事情変化により、どのような影響が出ているのか注意深く見ていく必要があると考えております。また、目前に迫った生産緑地の二〇二二年問題や、敷地の細分化による狭小宅地開発などによって物件供給が過剰になれば、地価の下落のみならず、緑の減少に通じ、防災などにおける環境悪化も懸念されます。現在、バブル期に迫る、あるいは一部にはバブル期を超えた不動産価格の上昇が見られましたが、折り返し点に差しかかっているという可能性もございます。二〇二一年七月から九月の実質GDP成長率が再度マイナスに転じるなど、経済の収縮、低迷が続く中で、ふるさと納税による減収も七十億円を超えて、区財政は大きな打撃を受けています。
このような状況にしっかり対応して区政を前に進めていくために、これまでの延長ではなく、次の十年に向けて区政の転換を図る必要があると考えています。良好な町並みや住環境を保全をするとともに、子育て世帯へのさらなる支援の充実、グリーンリカバリーや、民間事業者との連携による先駆的なまちづくりの取組など、持続可能な魅力ある世田谷区を発信をしていき、再び再稼働させていく必要があると考えております。
コロナ禍で持続可能な財政運営のために、生活基盤を支える施策についても、従来の延長にとどまらないきめ細かな地域生活支援を必要とするという時期に差しかかっていると考えています。区民生活を守り、事業者の活動を支え、誰もが住みたい、住み続けたい、住んで楽しいと思える世田谷の実現に向け全力で邁進してまいります。
軽自動車税について
次に、軽自動車税についてです。
十月二十二日に行われた東京都税制調査会で軽自動車の増税の提言をしておりますが、全く賛同できませんし、反対です。提言とはいえ、軽自動車税は地方税法により市区町村が課すことが定められており、市区町村を頭越しにした東京都のミスリードは看過できません。世田谷区としての立場を明確にする必要があると思いますが、都税調による軽自動車税増税の提言に対する区の見解を求めます。
工藤 財務部長
私からは軽自動車税について御答弁をさせていただきます。
軽自動車税は、地方税法により、自治体の自治事務として市区町村が課することが定められており、その税率は地方税法の下、区税条例に規定され、令和二年度の調査では、区内に約一万三千台の自家用軽乗用車が登録されております。
税収の確保は区政運営を支える重要な要素ですが、一般社団法人日本自動車工業会が二〇一九年に調査した軽自動車の使用実態調査報告書によりますと、軽自動車は比較的収入が少ない方が使用している現状が見てとれ、区民の皆様の生活に欠かせない移動手段の一つとして定着している軽自動車の安易な増税は、税の逆進性を強めるものと認識しております。引き続き都や国の動向を注視し、今後、都がさらに具体的な措置を講じてきた場合には、課税権を有する区としての考え方を明確に示していく必要があると考えております。
以上でございます。
世田谷区内を通る私鉄電車内での犯罪から区民利用者を守る安全対策について
次に、世田谷区内を通る私鉄電車内での犯罪から区民利用者を守る安全対策についてです。
小田急線、京王線等列車内において相次いで発生した刃物等を使用した無差別凶悪事件は、区民の安心安全な暮らしに大きな不安を与えるものであり、事件発生後、国土交通省から各鉄道事業者に対し、安全対策の見直しに関する指示が出されたと聞きますが、自治体としてできる再発防止に向けた具体の対策の検討状況について伺います。
菅井 危機管理部長
私からは二点について御答弁申し上げます。
初めに、公共交通機関における安全対策についてです。
電車内において相次いで発生した凶悪事件は、区民の安全安心な暮らしに大きな不安を与えるものであり、これを受け、警視庁と都内各公共交通機関が連携して、駅、車両内等の警戒を実施しているところです。
また、昨日、十一月三十日には、警察及び東急電鉄株式会社が合同で、東急田園都市線二子玉川駅と三軒茶屋駅にて、車両内における凶悪事件発生を想定した実践訓練を実施し、区もこれに参加いたしました。訓練は、犯行の抑止や区民の安心感の提供にもつながり、現場において、区、警察、事業者と実践的な連携体制の再確認、区が関与できる安全対策の検討もなされました。
今後も、警察、公共機関等と連携し、緊急連絡体制の再構築、一時避難場所の確保、各種合同訓練を実施するとともに、事案発生時には安全安心パトロールカーや防犯情報メール、ツイッター等、あらゆる広報ツールを活用した区民への情報提供、注意喚起、被害拡大防止を優先的に実施し、区民の安全で安心な暮らしを守る危機管理体制の強化に取り組んでまいります。
区内の公園での犬の散歩について
次に、区民生活の向上に向けてですが、継続して要望している課題の現状について伺ってまいります。
まず、区内の公園での犬の散歩についてであります。
砧公園ファミリーパーク内で犬の散歩が禁止されています。砧公園の近隣にお住まいの区民の方から、駒沢公園では全域で犬の散歩が可能なのになぜ禁止されているのか、その理由がよく分からないとの御意見も多く寄せられております。公園利用者ニーズの多様化に応えていない現状の改善を求めるものですが、例えば、日中の利用者の多い時間を除いて、夜間から早朝までの時間帯は犬の散歩で利用可能となるよう、都と協議するなどの対応が求められますが、区の見解を伺います。
釘宮 みどり33推進担当部長
私からは砧公園ファミリーパークでの犬の散歩についてお答えいたします。
通常、公園では引き綱をつけ、ふんを放置しないなど、利用マナーを守っていれば、犬を連れての利用は可能となっております。しかし、お話しの都立砧公園内西側のファミリーパークと言われる芝生広場のように、植物や施設保護、利用者の区域分けなどの考えから、犬を連れて入ることを禁止している箇所もございます。砧公園での運用については、禁止区域の解除を求める声がある一方、利用マナーの問題から利用に反対する意見もあると聞いております。
区といたしましては、人間と犬との共生を促進していくには、飼い主のマナー向上や利用者間の理解を求めることが大切だと考えております。そのため、これまでも定期的に犬のしつけ方教室を区内の各地で開催し、飼い主への適正飼養の指導、普及啓発を行っているところでございます。引き続き区立公園などでマナー啓発に関係所管で取り組むとともに、御指摘の禁止区域を解除してほしいと願う利用者側の声、そして御提案をいただいた時間限定の開放などについては、管理者となっております東京都に伝えてまいります。
私からは以上でございます。
防災無線の音声デジタル化と補完について
次に、防災無線の音声デジタル化と補完についてです。
聞き取れない防災無線の音声デジタル化と、発信される情報の補完として様々なチャンネルを同時に配信することが必要と考えますが、現状と今後の対応について伺います。
菅井 危機管理部長
次に、防災無線放送とその補完についてです。
防災行政無線の聞きにくさを解消するため、近年においては、お話にあった音声のデジタル合成技術や、均一で明瞭な音を伝える技術を取り入れたスピーカーなど、様々なツールが登場してございます。区はこのような状況を踏まえまして、令和五年度の災害対策本部機能の新庁舎への移転に合わせた新たな防災システムの構築に当たり、デジタル合成音声により無線放送ができる機能を取り入れる方向で検討を進めております。
また、現在のスピーカーは、平成二十七年度から令和元年度にかけまして整備したもので、耐用年数はおおむね十年程度と見込まれております。今後、機器の更新の際には、より明瞭な音を伝える技術を用いたものへ順次切り替えていく方向とし、最新の技術の調査把握に取り組んでまいります。
あわせて、無線放送の内容を確認することのできる電話応答サービスやテレビのデータ放送、メール、ツイッター、ホームページにより、無線塔からの放送だけでなく、必要な情報が確実に区民に伝わるように取り組んでまいります。
以上でございます。
給食費の完全無償化について
給食費の完全無償化についてでありますが、世田谷区の全児童生徒数は五万百九十一人で、給食費の無料化適用の児童生徒数は一万三千六百人と、全体の二七・六%が現状で、完全無償化にはあと約二十七億円が必要です。現在、この費用の内訳は、国や東京都の補助金は一切なく、児童生徒一人当たり負担金年間四から六万円から成る全額保護者負担金で賄われております。大学を含む教育にかかる費用の無償化は福祉先進国では進んでおりますが、我が国ではなかなか進んでいません。せめて給食費ぐらいはと提案を重ねておりますが、世田谷区でも取り入れるには財源の問題等、ハードルは高いと認識をしております。それでも未来を託す子供たちのために何とかチャレンジできないものかと腐心するものですが、一案として、ふるさと納税のクラウドファンディングなどで、区の給食費の無償化へ向けた寄附を募るなど検討してみてはいかがでしょうか。安定財源とはならないまでも、そうした区の取組に対し、区民の協力と関心の喚起につながり、有効と考えますが、区の見解を求めます。
知久 教育総務部長
私からは給食費の完全無償化についてお答えいたします。
給食費は、学校給食法等の規定に基づき、保護者の皆様には食材費を負担していただいております。令和三年度予算では約二十七億円となっており、全てを区の公費で賄うには、安定的な財源の確保が大きな課題であると認識しております。一部の自治体では、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一時的措置として給食費の無償化を実施している自治体や、多子世帯などを対象に給食費の補助を実施している自治体もございます。区では、令和元年十月より就学援助制度の支給対象者を拡大し、保護者の負担軽減に取り組んでまいりました。給食費の完全無償化については、区の財政状況を踏まえ、他自治体の取組や、国、都の動向も注視し、議員御提案の方策やその他の手法も含め、現実的な対応策を慎重に検討してまいります。
以上でございます。
公共施設での完全禁煙について
公共施設での完全禁煙についてです。
私は、公共施設、新庁舎や学校施設、スポーツ施設等も当然含んだ施設でのたばこの完全禁煙実施を要望してきておりますが、以前の私の質問への答弁で、新庁舎でも分煙等の対応で庁舎敷地内に喫煙所を設置するとしておりましたが、現在、公共施設での全面禁煙は社会的コンセンサスとして当たり前の状況になってきております。この点について、今後の施設整備に当たって、公共施設やその敷地内での喫煙は原則認めないという認識でいいのか、区の見解を確認しておきたいと思います。
公共施設や敷地を除いた民有地、場合によっては歩道や空きスペースにポイ捨て対策として、密閉型の喫煙所の設置もある程度必要と考えますが、大蔵運動公園の近隣の住民の方から、運動公園の歩道に喫煙所を設置しているのは、健康増進をする施設の目的に反するとの苦情が私の下にも来ております。設置場所に関しても十分な議論が必要と考えますが、この点についても見解を求めます。
また、区職員の喫煙者数及び喫煙率は減少傾向にあるものの、現状九・七%が喫煙者とのことです。区民の喫煙者数、喫煙率も減少傾向にあるものの、区民の肺がん等の疾患数、死亡者数はここ数年三百五十人程度で推移をしており、大きく減っておりません。区たばこ税収入は約四十一億円で、現在一般財源化されておりますが、たばこに関わる喫煙所の整備や、喫煙者の禁煙促進と、健康増進のためだけの財源にこの地方たばこ税を充てるなど、使途目的の明確化が必要と考えますが、区の見解を伺います。
清水 環境政策部長
私からは公共施設での完全禁煙について三点御答弁申し上げます。
まず、今後の施設整備に当たって、区公共施設やその敷地内での喫煙は原則認めないという認識でよいかについてです。
現在、区施設における喫煙規制につきましては、小学校、中学校、保育所、幼稚園などについては敷地内禁煙にしております。また、庁舎については屋外喫煙場所を設置し、分煙措置を取っております。区では、喫煙する人としない人が理解を深め合い、たばこマナーを向上できるまちづくりを目指しております。一方で、受動喫煙防止の観点も踏まえますと、公共施設の外に指定喫煙場所を設置する必要があると考えております。
続いて、喫煙所の設置場所に関しても十分な議論が必要と考えるがという点についてです。
区による指定喫煙場所整備は、駅周辺の道路、公園、区施設の敷地等の公有地で、かつ屋外に整備する必要があると考えております。
最後に、喫煙所の整備や喫煙者の禁煙促進と健康増進のためだけの財源に地方たばこ税を充てるなど、使用目的の明確化が必要という点についてです。
地方たばこ税については、使途が制約されず、どのような経費にも使用することができる一般財源であることから、指定喫煙場所の整備や喫煙者の禁煙促進と健康増進も含めた区の施策に広く活用しております。今後につきましては、国の動向を注視しつつ、一方で、区内の路上喫煙や吸い殻のポイ捨てが後を絶たないことから、引き続き指定喫煙場所の整備は計画的に進めてまいります。
私からは以上です。
歩きスマホの禁止条例について
最後に、歩きスマホの禁止条例についてです。
区が行う歩きスマホの防止に向けた啓発事業や、歩行者の交通量が多い三軒茶屋、二子玉川、下北沢の駅付近での簡易的な実態調査の実施は評価をいたします。調査の結果、八・九%の方が歩きスマホを行っている状況に加え、歩きスマホに起因した障害者や高齢者が被害に遭うトラブルは後を絶ちません。世田谷区のような都市部で人口密度の高い自治体においては、住民が互いに快適に暮らすための一定のルールは必要であります。提案している歩きスマホ禁止条例制定に関し、その後の検討状況について伺い、壇上からの質問を終わります。(拍手)
青木 土木部長
私からは歩きスマホに関する御質問についてお答えをいたします。
歩きスマホは、歩行の際のマナーや危険性の認識が不足していることが主な原因であり、区はこの間、「区のおしらせ」やデジタルサイネージ、交通安全教室の場などを活用し、歩きスマホの防止を呼びかけてまいりました。そのほか、新年度に合わせて高校や大学に交通安全運動期間に合わせ、町会等に啓発ポスターの掲出を依頼するなど、多くの啓発を積み重ねております。
また、歩行者の交通量が多い三軒茶屋、二子玉川、下北沢の駅付近で簡易的な実態調査を行い、約八・九%の方が歩きスマホを行っている状況を確認しているところでございます。一方で、日常生活の中では、多くの区民が様々な場面や用途でスマートフォンを利用しており、道路交通法などにも規定がない歩きスマホを条例で規制を行うことは、慎重な対応が必要であるとの指摘もいただいております。
区といたしましては、歩きスマホの防止については、策定中の世田谷区交通安全計画にて新たに示したとおり、関係機関と連携して、交通安全意識の向上を図ることが重要と考えており、広報媒体の活用やキャンペーン等により、幅広く意識啓発に取り組むとともに、引き続きルールづくりの必要性の観点において、区民全体における機運や周辺自治体の状況等を注視してまいります。
以上でございます。
再質問
それぞれ御回答いただきましてありがとうございました。また、引き続き要望しているものに関しては、計画をまた伺ってまいりたいと思います。
一点再質問させていただきますけれども、世田谷区内を通る私鉄電車内での犯罪から区民利用者を守る安全対策はもちろん重要なことですが、そうした対策で再発を完全に防げるわけではありません。
東京新聞でも、法務省法務総合研究所の報告、無差別殺傷事犯に関する研究によると、犯人には幾つかの顕著な傾向がある。収入面でも不安定な状況があり、交友や交際関係が乏しい。恵まれない生活の中で、社会に絶望や憎しみを抱いている人物が多い。社会を攻撃したい犯人の存在は憎んでみても消えない。社会的な病理であり、どうしたら減らせるのかという議論を重ねることが大切だとしておりますが、こうした事件を起こした犯人の傾向から、やり直しができにくい現代社会において、自治体の長としてどのような議論が必要か、今後、こうした犯罪の再発防止に向けて何に取り組むべきか、区長の見解を求めておきます。
保坂 区長
あべ議員の再質問にお答えをいたします。
八月に小田急線の車内で、十月に京王線の車内で、相次いで公共交通機関において無差別死傷事件が発生いたしました。乗り合わせた車内で被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるとともに、早期の御回復を心からお祈りするところでございます。
議員より無差別殺傷事犯の傾向に関する研究報告を御紹介いただきました。防犯上の対策をさらに充実させることはもちろん必要ですが、直接の監視体制強化やチェックというだけでは、この類型の犯罪が完全に根絶できないんではないかという観点だと思います。自暴自棄に陥り、間接自殺、あるいは拡大自殺とも言われる、他者を巻き込んで、目的は死刑になることだ、こういった犯罪、あるいは一切の社会的関係に絶望して、刑務所にエンドレスで逃避したい、こういう動機、いわばここに陥らない地域社会の実現はいかにあるべきかということだと思います。
こういった大変悲惨な犯行を起こす前に、人間関係を緩やかに回復できる機会があったのかどうか、あるのかどうか、これが問題だと思います。自ら傷ついて自己否定感の強い方が競争的環境ではなく、それぞれの状況に合わせた居場所や、やり直しのできる福祉的な環境が必要だと考えます。区では、ひきこもり支援や農福連携等、若者を中心とした幅広い支援も行っていますが、広い意味で社会の中にそういう柔らかい構造、一旦失敗をして孤立をした方を再びその傷を癒して、社会に少しずつコミットメントできるような仕組みが必要だと。あえて言えば、社会から突き放された絶望から生じる自爆的犯罪を抑止するために、人生においてUターンや途中下車も可能な仕組みを地域でいかにつくれるか、こういった重い課題をいただいたと考えています。
ありがとうございました。区長が言われるような仕組みを世田谷区としてつくっていけるように要望いたしまして、私の質問を終わります。