令和4年10月21日、本会議にて意見開陳を行いました。
世界的に食料、エネルギーの価格が高騰することで、収入以上に生活必需品の価格が上昇するため、生活必需品の支出割合が高い中低所得者層の生活をより圧迫するインフレのことをスクリューフレーションと言うのだそうですが、既に十年以上前から日本はこの状態にあり、さらに進むと、一億総貧困化という世界のどの国も経験したことのない悪性インフレになるとの指摘もあります。
国税庁の調査によると、正規社員の平均給与は四百九十六万円、これに対して非正規は百七十六万円です。正規と非正規では三百万円以上の差があります。しかも、非正規職員は増加しており、その割合は約三六%で、働いている人の四割弱が年収二百万円に届いていないのが今の日本で、世田谷区も例外ではありません。
政府の物価高騰抑制のための五万円給付は住民税非課税世帯で、全世帯の約四分の一に当たる約千六百万世帯が対象です。国民負担率が四八%と過去最高を更新する中で、課税されていても厳しい暮らしを強いられている世帯が全て給付対象から外されており、納税者の不公平感は一層高まっています。
旧統一教会問題や安倍晋三元首相の国葬への対応をめぐり、岸田内閣の支持率は過去最低の二七%です。もし一時的なばらまき策で支持率アップを狙ったのなら、到底賛同できません。また、国会での審議を経ずに閣議決定のみで使途を決めることができる予備費の濫用は許されません。数兆円単位の経済対策を予備費で賄うことは、財政民主主義を破壊する行為です。岸田首相は、いつでも国会審議に真摯に向き合い、国民の声を聞くべきです。
財務省と内閣府が公表した今年七―九月期の法人企業景気予測調査では、大企業の景気判断指数が三・四半期ぶりにプラスとなりましたが、円安の追い風で大企業ばかりが潤い、中小零細事業者や庶民は苦境に立たされています。政府は、この十月に追加の総合経済対策をまとめますが、円安を背景に、国の特別会計のうち外為特会の含み益は三十七兆円です。この大規模な経済対策に期待をいたしますが、官民の生産性の向上並びに企業の賃上げをより後押しする具体策と、消費を喚起する減税策の実施を強く求めたいと思います。
一方、世田谷区は、国の金融政策や財政政策に翻弄される状況ですが、区民福祉の向上のため、区長を先頭に職員が一丸となって、トゥーリトル、トゥーレイトとならないよう賢い区政運営に邁進することを求めて、賛成の討論といたします。